UTAU-BLOG 3

by YOSHIKI HORITA from iMAGINATIONS

10月31日 - 11月1日 新潟関川村 リトリート&キールタン

毎年お世話になっている関川へ、今年も行けることになりました。嬉しい。

新潟県北部、この村で自然農を営む川崎哲也さんが今回も主催をしてくれています。僕らはお互いをブラザーと呼び合う間柄です。

f:id:yoshiki_imaginations:20201016145118j:plain

昨年の稲刈りにて。似てる…?


農を通じて
自然の摂理を学び
天地自然の移ろいに沿って生きられたら
幸せだろうなぁと思って

公務員の職を離れ、自然と深く関わることを選んだ哲也さん。彼の言葉はいつも力みがなく、それでいてしなやかな強さを持っている。最初から不思議と気が合って、時を重ねた今では心地よい信頼関係で結ばれています。

アリゾナ出身の奥様パティさんは、関川の魅力を伝える情報誌『Sparkle』を、これまでに4冊発行。全国的にはまだ知る人の少ないこの村の伝統、産業、人々について広く発信しています。今年の6月には『天と地のかけはし - 写真とエッセイでつづる関川村での10年間』を出版。流暢な日本語、豊かな語彙力、そして何よりその行動力には本当に驚かされるばかりです。

Sparkle:
天と地のかけはし:
表紙のように、五人の元気な子供たちも、いつでも大きな笑顔で迎えてくれます。



関川で過ごす時間は、僕にとって心からほっとできる大切なもの。村の自然農グループ『はっぴぃふぁーむ』の収穫祭では、赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで、仲良く喜びを分かち合っている光景が胸に残りました。都市部では見えにくくなっているこのようなあたたかさを、来てくれるみなさんと一緒に、ゆっくり味わいたいなあと思っています。一泊二日のリトリートと、キールタンの会でお会いしましょう。

* いずれも残席わずかとのこと。参加を決めている方は早めの申し込みをおすすめします。


この縁を最初につないでくれたMEGちゃんへ、あらためて感謝でいっぱいです。

-

2020年 10月31日(土)〜 11月1日(日)
『月と森と音のリトリート in 関川村

10月31日 13:30 集合
11月1日 13:30 解散

参加費:
宿泊あり 22,000円
宿泊なし 15,000円

申し込みフォーム:
https://ssl.form-mailer.jp/fms/1168be83678248

Facebook イベントページ:
https://www.facebook.com/events/598311804175574/

-

2020年 11月1日(日)15:00 - 17:00
『深秋のキールタン in 関川村

参加費:3500円
会場:関川村東桂

申し込みフォーム:
https://ssl.form-mailer.jp/fms/cd9d3062678925

Facebook イベントページ:
https://www.facebook.com/events/3329072967160082/

-

他にもおすすめしたい関川の方々。

おおしま農縁:
地球にやさしい農「縁」を営む大島さん。無農薬の雑穀類は通販でも購入可能です。奥様はつぶつぶ(雑穀)料理の先生でもあります。


農家民宿 おくやま:
田舎暮らしの中で、マクロビオティックの教えや発酵の魅力をお伝えする奥山さん。穀物菜食ごはんはもちろん無農薬、季節野菜ほとんどが自家栽培です。

f:id:yoshiki_imaginations:20201016150011j:plain

川崎家のほど近く、龍神様の滝。


2020. 10月スケジュール

記録的な暑さとなった今年の夏も、九月を過ぎる頃には、いくらかの余韻を残しながら去っていった。命の危機さえ感じた酷暑日もあったが、それも今となると思い出深く、過ぎていったさみしささえ残る。

多くの人がそうだったように、春以降は家で過ごす時間が増えた。季節の変わり目を、こうして同じ場所で眺められたのは何年振りだろうか。山に越したこともあって、色だけでなく、匂い、音の移ろいも以前よりよくわかる。

少し冷たい、けれど新鮮な甘い空気を肺いっぱいに吸い込むのが、最近の毎朝の習慣だ。自分という存在が、全てとつながる一部なのだと、頭より先に体が理解する。自然は言葉ではない言葉で語りかける。生命と非生命との違いは呼吸だといわれる。木も花も、鳥も虫も、視力ではキャッチできない微生物も、僕たちと同じ空間で呼吸を分け合っている。「自分ひとりで生きてます」なんて思い上がっていた若き日の己にゲンコツを食らわせたい気分になる。…いや、そっと抱きしめてあげよう。過去の反省は現在の選択に役立つ足がかりだ。

つながりの中で生かされている自分を、今どのように活かしていきたいか。

毎朝の深呼吸の後には、考えるともなくそのような言葉が浮かんでくる。文字通り「自然」に浮かんでくる。


-


堀田義樹 10月〜11月スケジュール:

・10月3日(土)長野 原村リングリンクホール
『八ヶ岳 1DAYリトリート』 
with サトケン, 平垣美栄子

・10月6日(火)オンライン
『Weekly Online:声と呼吸のレッスン』  
* 10月から14時と19時の二枠に増えます。

・10月10日(土)11日(日)宮城 奥松島
堀田義樹 奥松島合宿』 

・10月12日(月)〜 14日(水)山形 大聖坊 + オンライン
龍神巡り』
with 星野文紘, サトケン, 平垣美栄子

・10月17日(土)東京 多摩川 Ananda Yoga Studio
新月のKIRTAN』

・10月20日(火)オンライン
『Weekly Online:キールタンのレッスン』 

・10月24日(土)オンライン
『チャクラワーク & キールタン & トークセッション』
with Masumi Lacoste  

・10月27日(火)オンライン
『Weekly Online:声と呼吸のレッスン』 

・10月31日(土)〜 11月1日(日)新潟 関川村
月と森と音のリトリート


・11月1日(日)新潟 関川村
深秋のキールタン

・11月3日(火)オンライン
『Weekly Online:キールタンのレッスン』

・11月7日(土)〜11月8日(日)奈良 曽爾村
堀田義樹の音魂と田辺響の太鼓の共鳴』 
キールタンリトリート

最新情報は Morning-lights/net をご覧下さい。

f:id:yoshiki_imaginations:20201002232155j:plain

久しぶりに断食合宿に参加した伊豆高原の夜明け。

2020. 9月スケジュール

8月に行なった屋久島リトリートでは、数年前から大地の再生に力を注いでいるmoss ocean house今村氏先導のもと、みんなで森に入らせてもらった。

いつも豊かな自然に圧倒されるばかりだが、氏によれば「屋久島の大地も、実は弱っているんです」。島の沿岸をぐるりと一周する県道や、コンクリートで固めた水路など、人工物が本来の循環を阻害していることが一因だと考えられている。


moss ocean houseの奥には、森の主と呼ばれるアコウの木が鎮座している。主を囲む壁のような藪を観察すると、蜘蛛の巣が張っていたり、風が堰き止められて見える箇所がある。それこそが「風の通りたがっている道」だという。

この日は、海からの風を主まで届けることを目的として、それぞれ鎌を片手に、流れを遮る淀みを読み、葉を刈っていく作業。時間の経過と共に、いつしか話し声は止み、誰もが森と、風と、語り合っていた。


どれくらい過ぎただろうか。ひとしきりいい汗をかいた頃、今村氏がみんなを呼ぶ。

波の音がよく聞こえる。さわやかな風の道ができている。森が喜んでいるのが分かる。

誰ひとり言葉を発することはなかった。声にするのがもったいないような、何かとても大切なものを感じ取っていたのだと思う。この瞬間を全員で共有できたことは、間違いなく今回のリトリートのハイライトのひとつだった。


目を向けて、初めて気づけることがある。

都市部に暮らすとつい忘れそうになるけれど、人間ひとりひとりも、あらゆる命とつながる自然の存在だ。森に起きていること、水に起きていること、気候に起きていること、それらはすべて「わたし」の話なのだ。

同じように、体も、心も、ただ放っておけば、流れを滞らせる藪(のようなもの)を生じさせてしまうのだろう。静かにそれを読み、鎌を入れる時間が必要なのだと思う。「風の通りたがっている道」は、きっと自分の中にも存在している。


-

さて、9月は1日からオンラインレッスン再開、その後には関西、関東のイベントと続きます。コロナ以降の新しい流れを感じつつ、急がず、味わいながら、動いたり休んだりを楽しみたいと思います。

-

2020年9月スケジュール:


・9月1日(火) オンライン
『Weekly Online:声と呼吸のレッスン』
http://bit.do/fHZCB 
https://www.facebook.com/events/921377101703701/ 


・9月4日(金)兵庫 芦屋 ディエステガーデン
『堀田義樹 プライベートレッスン』 
https://ssl.form-mailer.jp/fms/5b0ed506432327 
* 空き枠 1


​・9月5日(土)兵庫 神戸 インドクラブ
『YOGA DAY KOBE』 
http://bit.do/fHZCQ 


​・9月6日(日)兵庫 元町 spaceわに
『ヴォイスワーク & キールタン』(二部制)
https://spacewani.com/2009yoshikisan/ 


​・9月7日(月)兵庫 西宮 Biotope Yoga Studio
『KIRTANから学ぶ音の力 祈りの力』
〜発音・音程・意味、その理解〜 

http://biotope-yoga.com/iventws/kirtan-kara-manabu.html 


​・9月8日(火)オンライン
『Weekly Online:キールタンのレッスン』
http://bit.do/fHZCB 
https://www.facebook.com/events/921377101703701/ 


​・9月9日(水)埼玉 大宮MITハウス
『光・音・呼吸』
with Knob(ディジュリドゥ), Chie(画家、あわ歌)
https://www.facebook.com/events/1033191130371091 

* キャンセル待ち


・9月15日(火) オンライン
『Weekly Online:声と呼吸のレッスン』
http://bit.do/fHZCB 
https://www.facebook.com/events/921377101703701/ 


・9月17日(木) 東京(会場未定)+ オンライン
新月のKIRTAN』
* 詳細は近日公開


・9月20日(日)〜 22日(火・祭日)伊豆
『サトケン 断食デトックス合宿』ゲスト
http://bit.do/fHZCZ 


・9月29日(火))オンライン
『Weekly Online:キールタンのレッスン』
http://bit.do/fHZCB 
https://www.facebook.com/events/921377101703701/ 


最新情報は https://www.morning-lights.net/ からどうぞ。

f:id:yoshiki_imaginations:20200901100249j:plain

6月21日(土) 新月・夏至・日食・国際YOGA DAY

今週末は久しぶりの遠征で関西方面に向かう。帰国してから二ヶ月半、家のまわり数km圏内での暮らしもいよいよ終わりを告げようとしている。

6月19日(金)- 21日(日)高野山 恵光院

初日となる19日は、ご存知のように県境をまたぐ移動が全国で解除される日。当初の予定より人数を制限しての開催にはなったけれど、まずはみんなとの再会をお祝いしたい気持ちでいっぱいだ。大聖地が再会の場だなんて幸先がいい。主催のTakakoさん(Biotope Yoga Studio代表)は高野山とのご縁が深く、驚くほどの充実プランを準備してくれている。間違いなく特別な三日間になるだろう。

リトリート最終日は、新月夏至・日食・国際YOGA DAYと重なっている。そもそもこのリトリートも国際YOGA DAYの『1000人ヨガ at 高野山』に合わせて企画されたものだった。新型コロナの影響により『1000人YOGA』は実現できなくなったものの、オンライン開催に変更となり、僕もKirtanを担当させていただくことになった。

この日は『新月のKIRTAN』と、『声のレッスン インテンシブコース』のオリエンテーションもオンラインで行われる。以下、盛りだくさんの一日を時間順にお知らせしたい。

* 天気が良ければ日食が観測できます。16:08頃から食が始まり、最大は17:08頃とのこと。

-

f:id:yoshiki_imaginations:20200618002957j:plain

新月のKIRTAN オンライン』at 高野山 恵光院 

13:30 - 15:00

『国際YOGA DAY関西 オンライン』
15:35 - 15:55 祈りの歌 Kirtan 担当

日食
16:08 - 18:03

『声のレッスン インテンシブコース オンライン連続講座』オリエンテーション
18:00 - 19:00

辻信一さんが呼びかけている『キャンドルナイト』も紹介したい。みんなが、それぞれの場所で、思い思いのやり方で、でんきを消してスローな夜を。僕もなんらかの形で参加したいと考えている。
『コロナの向こうを照らす明かり/キャンドルナイト 2020 夏至
20:00 - 22:00

 

 

6月 声のレッスン インテンシブコース 連続講座 オンライン特別編

地元札幌でボイスレッスンに通うようになったのは、16歳の時でした。最初は歌のレベルを上げたいだけだったんですが、ある時、プラクティスが声だけでなく、メンタルも整えてくれることに気づきます。特にデビューしてからの数年間は、慣れない目まぐるしさの中、ただ純粋に声と向き合える時間が心を潤す白湯のようでした。それから、フリーになる前にヨガや瞑想に出会って、呼吸と声の見え方にも、生き方にも、劇的な変化が訪れました。本当に面白くなったのは、そこからです。

音色、声色というように、音や声にも色があるのを感じます。レッスンやワークショップでは、そうした色を、整える、開く、といったイメージでガイドしています。一人一人が心に持っていることと、声が、同じ色だと、本当に「いい」んです。「いい」としか言えないんだけど、笑 それはたぶん本人にとっても、周りの人にとっても、世界にとっても、すごくいいことなんだと思うんです。

昨年『声のレッスン・インテンシブ(集中的)コース』として、さっちゃんこと今村幸子さん主催のもと、半年間の連続講座を行いました。僕が今日まで学び、実験、実践してきた内容を、人に伝えられるレベルまで覚えてもらおうというものでした。これだけの期間、同じメンバーでの講座は初めての試みでしたが、みなさんの熱心さと、それぞれの声の変化に感動しながら、半年はあっという間に過ぎて行きました。僕にとっても大きな学びの場となり、心から「やってよかった」と感じられるものでした。


前回、キャンセル待ちが出るほど、多くの人が興味を持ってくれたことは嬉しい驚きでした。そのため第二期は関東、関西を並行して行うことになり、準備も着々と進んでいたんですが〜〜〜コロナ〜!(西城秀樹「ローラ」のメロディで)

同じ場に集まる講座は延期となりましたが、関西で主催をしてくれるFIVE ELEMENTS代表、渡部愛さんとの話から、今回オンライン特別編として開催することになりました。6月27日(土)を皮切りに、三週間の中で、二時間 × 6回という短縮版にはなりますが、画面を通して伝えられる限界にチャレンジします。

ここに至るには、オンラインでの手応え(5月から週四回で行ってきたクラス、新月のKIRTANなど)が背中を押してくれたことを感じます。これまで参加してくれたみなさんにも感謝をお伝えしたいです。ありがとうございました!

同時録画のダウンロード、次回開催時の特典、第一期参加者の特典があります。詳しくは以下に。


-


『声のレッスン インテンシブコース』オンライン特別編


●主なトピックス
・知っておきたい声の知識/声の基礎トレーニン
・声のための呼吸法/腹式呼吸の正しい理解
・呼吸と声をつなぐ/発声を支える筋肉のはたらき
・からだの共鳴ポイント/滑舌と強弱
・より高度な声の筋トレ/伝える声の核となるもの
* 進行状況により内容は変更される場合があります。

歌のために、人前で話すために、自信を持って声を出すために、声のコンプレックスとお別れするために、等々、どのような目的にも対応できるレッスンです。


●日時
全6回
※ できるだけ全日程通してご参加ください。
オリエンテーションとシェアリングはできれば全員で集まりましょう。
※ Zoomでの講座はすべて録画して参加者の皆さまにお渡ししますので、復習に役立てていただくことができます。

オリエンテーション 
 6/21(日) 18:00〜19:00
① 6/27(土) 9:00〜11:00
② 6/28(日) 9:00〜11:00
③ 7/4(土) 9:00〜11:00
④ 7/5(日) 14:00〜16:00
⑤ 7/11(土) 9:00〜11:00
⑥ 7/12(日) 9:00〜11:00
シェアリング 
 7/18(土) 9:00〜10:00


●場所 
Zoomを使ったオンライン開催
※ 次回『声のレッスン』インテンシブコースの会場は、京都トコ会館 /ヨガスタジオFIVE ELEMENTSです。


●受講料
40,000円(税込)  
クレジットカード(PayPal)利用の場合 手数料込み 41,536円(税込)
※ 事前振込制
※ 次回『声のレッスン』インテンシブコース開催時は今回との差額で受講可能、第一回インテンシブコース受講者は10,000(税込) で復習受講可能です。


●定員
10名+復習受講者


●ご予約・お問合せ
ヨガスタジオFIVE ELEMENTS ご予約のページより
●トコ会館 お知らせページ
Facebook イベントページ

f:id:yoshiki_imaginations:20200616234627j:plain

第一期の様子。

『ブックカバーチャレンジ』で紹介した7冊


先日Facebookで、我が友サトケンからブックカバーチャレンジなるものが回ってきた。Stay Homeのさなか、ときどき見かける「〇〇チャレンジ」のひとつのようだ。


 この企画は、“読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する”というものだそうです。

 ①本についての説明はナシで、表紙画像だけをアップする。

 ②その都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお誘いする。


こういうの、普段ならまず乗らないが、サトケンのリクエストであること、いろんな人に「好きな本は?」と聞かれる機会が少なくないこと、子供の頃から本(文章、言葉)に多くの気づきをもらっていて、それを紹介できるのは面白いかもと思ったこと、などの理由でやることにした。

結果、なんだかとても楽しめた。あっという間に終わってしまった、とさえ思った。好きな本は数えきれない。


七日間に渡り投稿したものを、ここにもまとめておきたい。タイトルをクリックすると詳細が見られるので、興味があればあなたもぜひ読んでみてほしい。

* 以下、太字は本文からの引用。


- - -


一日目:
旅をする木/星野道夫 

「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」

「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いてみせるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」

「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって……その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」

-

サトケンから回ってきたバトンを断るわけにはいくまい。真剣に選び始めると止まらないので、その日の朝に思いついた一冊を上げていこう。

- - -


二日目:
イリュージョン/リチャード・バック 

昔、大きな川の底に村があった。遠くから見ると一本の水晶のように光るほど綺麗に澄んだ大きな川だった。その川に生き物の住む村があった。

川の水は全ての生き物の上を静かに、優しく撫でるように流れていた。全ての上を、平等に、若者、老人、金持ち、貧乏人、善良なるもの悪しきもの、全ての上を。

生き物は、川底の小枝や小石につかまって生きていた。しがみつく方法やつかまるものは様々だったが、流れに逆らうことが彼らの生活様式の根本だったわけだ。生まれた時からそうしてきたのだから。

しかし、生き物の中の一人が叫び出す日がきた。

「もうあきあきだ。こんなふうにしがみついているのは完全に飽きた。見たわけじゃないが、この川の流れは優しいし、どこへ出るのか教えてくれそうな気がする。連れてってほしいよ俺は、このままだと退屈で死んじゃうよ。あんたらそうは思わないか?」

他の生き物はそうは思わなかった。叫び出した奴を笑うのもいたくらいだ。

「お前はバカだな。手を離してどっかいってみな。お前の大好きなこの川の流れは、少しずつお前を弱らせて、最後に、岩に叩きつけて殺してしまうんだ。退屈で死ぬより確実だぜこれは」

しかし、彼はみんなの言うことなど聞きたくなかった。それくらい退屈していた。

それで大きく息を吸うと、パッと手を離してしまった。途端に流れに巻き込まれて岩に衝突した。

ところが、彼はそれでもその岩にしがみつくのをいやがったので、流れは彼のからだを再び揺り動かして川底からすくい上げ、それ以上傷を受けることはなかった。

下流へ来ると、彼を初めて見る生き物たちが興奮して叫んだ。

「おい、ちょっと見てみろ、あいつ飛んでるぞ。奇跡を起こしてる、あれはきっと救世主だ、俺たちを助けてくれる人だよきっと」

流れに乗ったものは彼らに向かって言ってやった。

「救世主なんかじゃない、あんたらと同じさ、思い切って手を離しさえすればいいんだ。流れはすくい上げてくれるよ、自由にしてくれる。手を離すんだ、それしかない」

それでもしがみついた岩から手を離すものはいなかった。さらに“救世主、救世主”と叫び続けた。

-

ちと引用が長くなってしまった。この寓話が含まれた導入部にやられて、そのまま最後まで読んだ思い出は二十歳の頃か。

飛行機乗りでもある作者のバック。代表作『かもめのジョナサン』もいいけど、今日は『イリュージョン』を。現実だと思っている世界は、Illusion(幻影、幻想、幻)だという、インド哲学の“マーヤー”にも通じる視点を持った小説。1977年初版。


- - -


三日目:
マイ仏教/みうらじゅん 

私は美大に入学するため、上京してから(中略)予備校に通っていました。そこでは、まず石膏像をデッサンすることから始めます。

その石膏像をデッサンするにあたって、先生は「これはブルータスに見えるかもしれないけど、ブルータスではない」と繰り返し、「形をそのように模しているだけのことで、仮にこれが割れたら、はたしてそれはブルータスと言えるのか?」と、まるで禅問答のようなことを一生懸命言っていたのです。

つまり、今見えている物は単なる面であり、光がこのように差し込んできて一時的にその面が構成されて見えているだけのこと。それを「ブルータス」と呼んでいるに過ぎないと。

形でものを見てはいけない、感じるんだ…。

先生はそう言いたかったのでしょう。

その意味がわからないまま私は、結局二浪してしまいました。

ある日のこと、浪人するたびに買っていた石膏像を自宅のアパートで倒してしまったとき……

「これだ!」

その瞬間にまた「諸行無常」をキャッチしました。

「われわれの認識するあらゆるものは、直接的、間接的なさまざまな原因が働くことによって、現在、たまたまそのように作り出され、現象しているに過ぎない」ーーー。

ブルータスの石膏像も、割れてしまえばただの石膏。先生が「これはブルータスじゃないんだ!」と力説していた理由が、そのときようやくわかり、翌年、美大に合格しました。

あのとき石膏像が割れていなかったら、私は目に見える形にとらわれたまま「ブルータスの似顔絵」ばかりを描いていたはずです。

形あるものは一時的な状態に過ぎなくて、それは即ち「ない」ことと一緒である。

デッサンの本質もまた「色即是空」だったのです。

-

今日も、ちと引用が長くなってしまった。

“マイブーム”生みの親であるみうらじゅんさんにとって、子供の頃から一貫してブームであり続けているものが仏教だという。『見仏記』や『アウトドア般若心経』などの活動からもそれは垣間みえていたけれど、氏と仏教について、たぶん初めてきちんとまとめられた本。

僕が好きな著名人ランキングで、長年に渡り上位に君臨し続けているのが、みうらじゅんさん。単に「おもしろい人」というカテゴリーに収まらない特別な何かが、この本を読んだとき、少し腑に落ちた。えらい僧侶が説く、どこか浮世から離れたお話ではない、いわば浮世のど真ん中をいく人による仏教的生き方の手引き。

刊行は2011年5月、つまり東日本大震災の直後であったことにも触れておきたい。帯にある「人生は苦。諸行無常の世の中だけど……、そこがいいんじゃない!」をはじめ、おそらくは、本当に伝えたいであろう心の中が、おかしさの中に散りばめられている。ものすごく優しい人なんだと思う。大好きです。


- - -


四日目:
地球/母なる星 THE HOME PLANET
宇宙飛行士が見た地球の荘厳と宇宙の神秘
 

「最初の一日か二日は、みんなが自分の国を指していた。三日め、四日めは、それぞれ自分の大陸を指していた。五日めには、私たちの念頭にはたったひとつの地球しかなかった」
スルタン・ビン・サルマン・アル=サウド(サウジアラビア

-

アポロ11号が月面着陸した1969年に始まる、宇宙から撮影した地球の写真と、各国の宇宙飛行士たちの言葉が綴られた、大きなサイズの写真集。

見たことのない景色、それを見た人たちの言葉。そこには、想像力を果てなくかき立てる、未知の美しさがある。子どもの頃、おじさんが聞かせてくれた外国の話にワクワクするような感覚を、ページを開くたびに思い出す。

巻末の解説で、一枚の写真が僕の誕生日に撮られたものだと知った。この本が刊行された1988年の世界人口は50億人。ある一人にとって大切な日にも、死にたくなるような絶望の日でも、それほどの人たちがここで生きている。僕の見たことのあるすべての人と、見たことのある何もかもが、この球体の中に存在している。それは、意識の波が揺さぶられて、それからもう一度つながるような、不思議な感覚だった。

2019年のデータで、世界人口は77億人に増えている。今、宇宙から見た地球は何か変わっているだろうか。

-

「暗く冷たい宇宙の真空のなかに浮かんでいる地球を見たとき、私の心の世界は大きく広がった。しかし考えてみれば、私の国の豊かな伝統のなかには、作られた境界線や偏見を超えてものを見よという教えがある。必ずしも宇宙に出なくとも、人は心を広くもつことはできるはずだ」
ラケシュ・シャルマ(インド)


- - -


五日目:
わらの家/大岩剛一 

圧縮したわらをブロック状にして積み、土を塗りこんで壁にする。そうして建てられる家がストローベイル(straw bale)ハウス。東京国分寺のカフェスローや、横浜戸塚のゆっくり堂に行ったことがある人も多いと思う。あの、まるくて、不思議な壁がストローベイルだ。建築家、大岩剛一さんが設計されている。

この本は、わらの家を通して見る「自然とわたしたち」の関わりを、主に子どもたちへ向けて書かれたもの。八ヶ岳山梨県北杜市の森の中に建てられた『藁舎(ワラヤ)』の記録にもなっている。

僕が最初に藁舎を訪れたのは2017年の春。大岩さんの妹、くにこさんとのご縁からだった。家の中は、木造とも違う、もちろんコンクリとはまるで違う、森との境目がない、やわらかい空気が流れていた。ストローベイルは、断熱性・蓄熱性ともに優れ、一年を通して快適に過ごせるという。後から「ここを建てたのは、高齢の母がおだやかで豊かに過ごせるようにっていう、きょうだいの思いからだったの」と聞いた。そうか、なるほど、、と僕は感じていた。藁舎では、それから毎年の新緑の頃、くにこさんとイベントをさせてもらっている。

昨年のイベントの直前、大岩剛一さんが逝去されたと聞いた。

イベント当日は、ストローベイルハウスについて、藁舎について、お兄さんについて、ぜひくにこさんから皆さんへ話してほしいとリクエストした。そこで朗読してくれたのが『わらの家』だった。やさしい家の窓から、やさしい光の差し込む、忘れがたい一日だった。

今年も藁舎でのイベントを計画しているのだけれど、今の状況ではどうなるか分からない。でも、またすぐにあの場所で、みんなと集まれたらいいな。

そんな願いも胸に、多くの人に読んでほしい、知ってほしい一冊を。

-

(あとがきより)

遠大な時間の中で蓄えられてきた豊かな知恵と技術、暮らしの思想を切り捨て、美しい山河を破壊して、戦後の日本は経済大国に名乗りを上げました。

わらの家をつくること、それは、建築家として家づくりに携わってきたこの30年間に、僕が失ってきた実に多くのものと、遅ればせながらつながり直す旅でもあるのです。

小さなもの、つつましいもの、失われたもの、ゆるやかに循環するものとつながり直すこと。

手間ひまかかる家づくりという古くて新しい物語を掲げ、住まいと私たちとの間にもう一度血の通った関係を築くこと。

これが、僕がこの本にこめた思いです。

- - -


六日目:
セロ弾きのゴーシュ/宮沢賢治 

ブックカバーチャレンジが回ってきた時、何となく、賢治作品は外せないかなと頭に浮かんでいた。

言葉、リズム、ストーリーの不思議なゆらぎ。素朴なシーンにさえ広がる宇宙。こちらに届くというよりも、突き抜けていくような何か。子どもの頃、文字が立体に変わる体験を教えてくれたのが宮沢賢治だったと思う。

どれを選ぶか迷いつつ、一番初め、学校に上がる前に読んだ『セロ弾きのゴーシュ』を。入門編と言っていい、短くてやさしいお話だけれど、あらためて読むとやはり動かされるものがある。

小さな町楽団で一番の下手くそだったセロ(チェロ)弾きゴーシュが、家にやってくる様々な動物たちとの交流を経て、やがて拍手喝采を浴びるようになる物語。

-

「鳥まで来るなんて、何の用だ。」ゴーシュが云いました。

「音楽を教わりたいのです。」

かっこう鳥はすまして云いました。

ゴーシュは笑って、
「音楽だと。お前の歌は、かっこう、かっこうというだけじゃあないか。」

するとかっこうが大へんまじめに、
「ええ、それなんです。けれども難しいですからねえ。」と云いました。

「むずかしいもんか。お前たちのはたくさん啼くのがひどいだけで、なきようは何でもないじゃないか。」

「ところがそれがひどいんです。たとえばかっこうかっこうとこうなくのと、かっこうかっこうとこうなくのとでは、聞いていてもよほどちがうでしょう。」

「ちがわないね」

「ではあなたにはわからないんです。わたしらのなかまなら、かっこうと一万云えば一万みんなちがうんです。」

- - -


七日目:
おむすびの祈り/佐藤初女 

あるときに神父様から「あなたにとって祈りとは何ですか」と訊ねられ、とっさに「私の場合は生活です」と答えました。

私は、端から見ていると、めったに座って祈らないといわれています。でも、今ここに本当に食べられないでいる人、病んでいる人がいたときに、いくら手を合わせて祈っても、思いはその人にすぐには伝わりません。

手を合わせて祈るのは「静の祈り」、同じことを心に抱きながら、行動するのが「動の祈り」だと思います。私は、生きているこの瞬間瞬間が祈りだと思っています。だから、お茶を入れて,おいしく一緒に飲みましょうというのも祈り。私にとっては、生活全てが祈りです。

-

僕が人生で影響を受けた女性といえば、母以外では、間違いなく初女さん。お米を研ぐとき、お米が痛くないように、野菜を切るとき、野菜が痛くないように。食べるとは、いのちをいただくこと…。「あなたにとって祈りとは」と問われたら、今の僕も同じようなことを答えるはずで、その種のひとつはいつか初女さんから受け取ったんだろうな、と。上に引用した言葉に、あらためて、はっとさせられたんです。

ブックカバーチャレンジ初日、『旅をする木』から、感動は自分が変わっていくことで伝えられるのではないか、という箇所を引いたけど、本当にそうでありたいなと思います。自分の手が、声が、言葉が、祈りでありますようにと願いつつ、七日間のチャレンジを終了するとします。誘ってくれたサトケン、招待したいと思わせてくれた友人たち、読んでくれたみなさん、ありがとうございました。楽しかった。

-

ものの見方が変わったり、世界を広げてくれたり、想像力を刺激されたり、文字から色や匂いや情景を感じたり。本を読むのは子供の頃から大好きでした。大好きゆえ、真剣に選ぶと時間がかかることもわかっていて、毎朝本棚を眺めて、思いついた(目が合った)一冊をアップすることにしました。それでも、紹介した七冊は、どれも手にとってほしいものばかり。不思議なもので、今こういう時だから、というチョイスになったようにも思えます。好きという理由だけでなく、共有したい本たち。よかったら、読んだり、読み直したりしてみてね。
f:id:yoshiki_imaginations:20200520222336j:plain

- - -


堀田義樹のオンラインチャレンジ、五月から週四日で行なっているクラスはこちら。
 https://www.morning-lights.net/online 

新型コロナ拡大で様々な影響を受けている人も、心置きなく参加できるように、受講費はドネーション(寄付)制です。

真の学びとは実践の中に。オンライン発信の軸となるもの。

帰国してから目覚ましのアラームを聞いていない。夜明けが来れば勝手に目が覚めて、太陽と共に真新しい一日が始まる。

神奈川と山梨の県境。緑と水に恵まれた町へ移住して一年。とはいえ、ずっと旅ばかりの生活だったから、Stay Homeのこの状況で、やっと家との関係を育むことができている。そして、家の周りを包む豊かな自然も、そんな僕を受け入れてくれているように感じる。体も心も、すこぶる調子がいい。

ここへ越して来た時に、仕事部屋を『響庵(hibiki-an)』と名付けた。今、オンラインで行なっている全てが響庵からの発信だ。このような形で活かすことになるとは予想もしなかったけれど、移住も、帰国できたことも、ここから発信できていることも、本当に幸運な流れだったとつくづく思う。

-

さて、今月から始めた週四回のオンラインクラスは、回を重ねながら、だんだんと形が整ってきた。軸となる信念を持って歩き始めたら、あとのことは神様にお任せ。来てくれるみんなと一緒に、これからも場が育まれる楽しみは続くだろう。

クラスで伝えたいことは画面を通じて伝えられていると思う。今日は軸の部分、「なぜ、これを?」について、順を追って共有したい。知っておいてもらえると、お互いに、この機会をより有意義なものにできる気がする。

-

1:新型コロナウイルス拡大でスケジュールが白紙に。

それでも、当初はオンラインで何かやろうという考えはなかった。厳戒態勢のインドから帰国したばかりで、自分を整える時間が必要だったり、友達や、インドに残された人、各地で主催してくれていた一人一人とじっくり話したりの毎日。活動そのものより、もっと根源的な「どう生きるか」に意識が向かっていた。


2:4月12日の大阪、気持ちに変化が。

阪堺市で予定されていたキールタンも延期になったが、主催のAyaちゃんから「オンラインで集まりを作ったので、義樹さんもサプライズで登場してほしい」と誘われる。帰国後は二週間の自主隔離中。当日、みんなの顔と声に深く勇気付けられ、喜んでもらえたことで、心に眠っていた何かが目を覚ます。


3:マンツーマンレッスンをオンラインで。

渡印前からスケジュールしていた生徒さんたちと話し合い、レッスンをオンラインに変更、数日に渡り実験を重ねる。結果、画面を通してもレッスンが十分に機能する手応えを得る。対面時とは違う気づきもあり、この形を活かす方向へと心が向かい始める。


4:4月23日『新月のKIRTAN』の申し込み数が凄いことに。

毎月続けて八年目の『新月のKIRTAN』初のオンライン開催。北海道から九州まで、さらには海外からも申し込みがあり、zoomの設定人数100名をオーバー。

当日、これまでの旅で出会った様々な地域の人たちが、画面いっぱい並んでいることに超感動。「今まで東京には行けなかったけれど」と、オンライン開催を喜んでくれる人たちの多さにも超感激。笑顔、涙、安心、感謝、伝わってくるものの深さと、終了後に届いた心からのメッセージの数々に、今こそこのような場が必要なのだと確信。心が完全に目覚める。


5:今、自分が役立てることは何か?

旅の生活を何年も続けてきたけれど、まずは変化の波を受け入れる。過去への執着は誰のためにも、何のためにもならない。今を生きる。という前提。

自分が生きる上でのテーマ「共に喜び合える」「共に学び、成長し合える」は、形ではなく有機的なものであり、どのような時にも実践できる。

時間 = 命を注ぎ学んでいるものは、自分を生かし、育ててくれているもの。僕にとっては、瞑想、声、音、祈り、生き方としてのYoga、がその中心にある。そうした取り組みが今の僕を作り、人との出会い、つながりを作ってくれている。僕はそのことにとても感謝していて、それを分かち合うことは、僕に学びを与えてくれた先人たち、師匠たち、仲間たちへの恩返しだと思う。一人の人間(堀田義樹)を救ってくれた学びは、他の人にとっても役立つ可能性がある。
 
 
 「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」

 「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いてみせるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」

 「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって……その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」

 旅をする木星野道夫・著 より


6:全てドネーション(寄付制)というチャレンジ

新型コロナの影響で先が見えない、という声を耳にする中、共有したいのは技術や知識の提供だけでなく、安心や思いやりの心だと感じていた。

ドネーションの文化が根付いているインドでは、多くのアシュラムや寺院などが寄付によって運営されている。「お金は感謝のエネルギー」という言葉は日本でも聞くが、インドにいると確かに肌で感じることができる。裕福な人も、食うや食わずの人も、それぞれの感謝の心を形として捧げている。

これまでも日本で、ドネーションのイベント、ワークショップは何度か行なってきた。そこでは戸惑いの声も聞かれた。「いくらがいいですか?」と尋ねられることもあった。なかなか難しい。

それでも、今回はチャレンジしてみようと思った。お知らせ文にはこのように書いた。

--------------
受講費:
ご自身で金額を決められるドネーション制です。

このオンラインクラスは、新型コロナウイルス拡大により様々な影響を受けている方も安心して学べる場となるように、願いを持って始めました。下限・上限ともに、こちらからの金額設定はありません。あなたの心が喜ぶ、愛と感謝の気持ちをお送りいただければ幸いです。
--------------

「あなたの心が喜ぶ」という部分が、何より伝えたいことだった。キールタンと声と呼吸を学びながら、「お金」「価値」「循環」についても、心と対話しながら、一緒に学べるレッスンになると考えた。

すでに、参加してくれた人たちから、このような声が届いている。一部を紹介したい。

「自分で決めることって、こんなに大変なのか!という発見。私の中に、まだお金に対するブロックがあると気づかされました」

ドネーションを送った後、お買い物にも感謝の気持ちが湧いてきたんです」

「素晴らしい学びなのに今はこれしか払えない…と反射的に思ってしまっていました。でも、申し訳なさではなく、最大限の感謝を込めて、自分の心の喜びと向き合っています」

その全てが、ありがとうございます、と締めくくられている。僕の思いからの、いわば問いかけに、心で感じて答えてくれていることが嬉しい。これこそ双方向的な「つながり」だと思う。提案したのは僕だけれど、これはお互いにとってのチャレンジ、学びなのだから。


7:今、分かち合いたいものは何か?

これまで何を感じ、何を考え、どのように生きてきたかということが、コロナ禍というタイムライン上で、それぞれ輪郭を露わにしているように見える。多くの人を通して、当然のように自分のこともよく見えてくる。だから、今ここで浮かび上がってくる感覚、感情、その他、まだ言葉になりきらないものまで、怖れずに、できるだけ隅々まで味わってみたい。そして、そこから生まれてくるものを正直に分かち合いたい。

にも書いたように、僕が共有したいのは、技術や知識だけでなく、安心や思いやり。ネットを開けば、不安、攻撃、他者依存、思考停止など、時に落ち込みそうなエネルギーに触れることもある(実際、落ち込むこともある)。けれど、それを発信しているのも「僕ら」だということを忘れてはいけないと思う。例えばある暴言であっても、家族を守りたいという愛が不安を呼んでいるのかも、と想像することだってできる。違いを認めながら、赦しながら、寄り添いながら、自分が大切にしたいものを守る柔軟さと強さ。それが、僕が心地よくいられる「僕たち」の世界だと思う。

オンラインでも伝えている通り(というか、長年言い続けてる)、声は振動のエネルギーで、エネルギーということは、熱したり、冷やしたり、動かしたり、飛ばしたり、など、など、あらゆる運動と同じ質から生じる。愛を囁く声と、罵倒する声と、誰だってその違いは感じられるはずで、けれど、自分の声が何を生じさせているか、無自覚なまま生きている人も少なくない。そこに意識を向けることで、自分を思い出し、つながりを思い出し、そして育てていくというのが、僕が実践しながら伝えている学びだ。

まず、声(= 振動のエネルギー)の影響を最も近くで受けるのが、自分であるということ。あなたが声にした全ては、あなたの体の細胞の隅々と、あなたを包む空間が知ってるということ。これを伝える理由はシンプル。あなたの「ほんとうの声」を聴きたいし、それをあなたにも聴いてほしいから。世界に「ほんとうの声」の美しさを増やしたいから。

キールタンも、祈りの声の美しさを捧げるという思いを持って場を作っている。ずっと声の学びを続けてきた僕が、なぜキールタンに魅了され、救われ、日本で紹介しているのか。これを読んでくれた人には、きっと理解してもらえるのではないかと思う。

週四回、土日の午後と、平日の夜にスケジュールしたのも、どこかには参加できる環境を作りたかったから。全員にとっての完璧さは無理でも、可能な限り公平な環境にはできるはず。


8:まとめ

真の学びとは実践の中に。経典も、聖典も、暗記するために存在するのではない。生き方を支え、より良い方向に変化させてくれるものでなければ、それは単なる情報、文字の組み合わせに過ぎない。(受け取る側の態度)

もし、ブッダ、キリスト、八百万の神々、インドの神々が今、目の前に現れたとしよう。「君、ずっと机に向かってるね」なんて言われたら僕はとても恥ずかしい。それより「君、楽しく生きてるね!」と喜んでもらえるほうがいい。

・不安や怖れではなく、愛から始める。
・自分が役立てることを分かち合う。
・経済的理由で人を選ばない。
・実践。

今どのような状況にある人にも、必要だったら役立ててほしいと思い、オンラインクラスを開いている。これを書いている途中、同じ集落のおじさんが朝採れの野菜を届けに来てくれた。当たり前だが、僕も多くの人たちに支えられて生きている。受け取った愛と感謝を循環させることは、チャレンジであり、学びであり、喜びです。

 あなたがこの世で見たいと願う変化に、あなた自身がなりなさい。
 マハトマ・ガンディー

 もしあなたが金持ちなら、与えなさい。もし貧乏なら、やはり与えなさい。
 ビノーバ・バーべ

-

ウィークリーオンラインクラスのページ:

ウィークリースケジュール:

日 14:00 - 15:10 キールタン
火 18:50 - 20:00 声と呼吸のレッスン
木 18:50 - 20:00 キールタン
土 14:00 - 15:10 声と呼吸のレッスン  

* この先の情勢により、いつまで続くかは未定。


Facebook イベントページ :

・二週目 5月10日〜16日

・三、四週目 5月17日〜 30日


その他のオンラインスケジュール:

・5月16日(土)10:00 - 12:30
『チャクラワーク & キールタン』with Masumi Lacoste

何もなければバリでリトリート中だった堀田義樹とMasumi、海を越えたコラボワークショップです。


・5月23日(土)16:00 - 17:30
新月のKIRTAN』
 毎月恒例の『新月のKIRTAN』は、先月に続いてのオンライン開催です。日本中、世界中からぜひどうぞ。

最新情報、スケジュールは Morning Lights Voice Therapy ホームページをご覧下さい。

f:id:yoshiki_imaginations:20200515114959j:plain

屋久島の仲間、Moss Ocean House 今ちゃんから届いたかわいい苔玉。体は離れていても、こうして心を向けてくれることが本当に励みになる。感謝。